本格的な三段階発酵肥料をつくる



2006年2月
これまで憧れつつもなかなか手の出せなかった
本格的な三段階発酵肥料つくりにチャレンジすることにしました
参考文献はいつもの薄上氏著書
『発酵肥料のつくり方・使い方』『発酵肥料で健康菜園』(農文協)

以下の記録はブログよりの抜粋です


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2月9日

この3年の間に何度も作ってきた発酵肥料だけど
いつもお手本にしている薄上氏の本『発酵肥料のつくり方・使い方』に出ている
本格的な作り方はまだ経験がない
というのも
このやり方は広い場所で材料を山積みにして作るもので
材料の総重量も500キロなどとケタ違い
その点、今まで作ってきた米ぬか発酵肥料は
小さなバケツの中でも簡単にできるのがいい

それでも、こうして何度も作り続けているうちに
本格的発酵肥料の真似事くらいなら
バケツを利用してできそうな気がしてきた
で、今年の第二弾は
”本格的芳醇発酵肥料もどき”にチャレンジすることにした

使用する材料は以下の通り
sandankaizairyou.jpg

1、2どちらの混合物も水にはニガリを加えている

まず第2混合物をポリバケツの底とまわりに貼りつけるように入れる
(真ん中はくぼんでいる)
sandankaishikomi1.jpg

次に真ん中に第1混合物をかためて入れる
sandankaishikomi2.jpg

その上を再び第2混合物でおおう
ちょうど第2混合物で第一混合物を包むような感じになった
sandankaishikomi3.jpg

最後にヨウリンをパラパラとかけておく
sandankaishikomi4.jpg

一応これで仕込み終了
あとは、中心部からこうじ菌発酵による発熱が始まるのを待つばかり。。


2月15日

仕込んでから一週間足らずで
発酵肥料第二弾(今後は発酵肥料Uと呼ぶ)の中心部温度が35度になった
水蒸気が上がってきて、ふたの内側が濡れている
こうじ菌発酵の甘い香りも漂って
順調なスタートに一安心

ただ、本来なら材料を山積みにして作るところを
ポリバケツを使っているので
このままでは周りが酸素不足になってしまうのが懸念される
かといってまだかき混ぜるわけにもいかないので
長い棒をバケツの縁にそって差し込みながらぐるりと一周
なんだか気休めのようだけど
一応これで酸素を供給したことにしておこう^^;


2月16日

sandankai216-1.jpg sandankai216-2.jpg

本日の温度は41度
この量では本に書いてあるように70度まで上がるのは無理だが
せめて50度、できれば60度近くまで上がってくれるのをひたすら待つ

いつもの発酵肥料なら
40度にもなればすぐに切り返しをするのだが
本格的な三段階芳醇発酵肥料ともなれば
中心部でこうじ菌がしっかり繁殖したのを見届けなくては
むやみと切り返しはできないのだ

このくらいの温度になると
温度計を差し込んでいる穴から
時折ほわぁ〜っと湯気が上がるのが見えるようになる
この中に冷え性の足を突っ込んだらさぞかし暖かいだろう
実際に堆肥の発酵熱を利用したお風呂(?)も最近はあるようで
あの独特のにおいさえなければ
発酵肥料はお部屋に置いて暖房器具代わりに使いたい。。

切り返しを待っている間に
表面にミカンの皮の干したものをばらまき
納豆の空パックをふせておいた

表面にはアルカリ性のヨウリンがまいてあり
納豆菌が繁殖しやすい環境となっている
そろそろ表面も暖かくなってきたので
納豆菌の元を置いておこうと思うのだ

ミカンの皮の干したものを
漢方では”陳皮(ちんぴ)”と呼ぶ
白色のペクチン質は繊維質が豊富で腸内細菌の栄養源であり
黄色の皮には
微生物の栄養となる有機酸類と
抗菌作用のある精油が含まれていることから
畑の土に混ぜて使われることもある
実際にうちでも
ここ3年、夏野菜を作るときには必ずこれを入れてきた

今年の野菜つくりは
今までのように堆肥や肥料を土の中に入れるのではなく
土の上に置くやり方で行こうと考えている
冬の間に貯めておいたミカンの皮は
今回はその一部が発酵肥料の材料になるのだ

そして
次にはブロッコリーの葉っぱを入れることも決まっている
発酵を促進させるというブロッコリーの葉っぱの威力は
これまでも十分経験済みで
面白いことには、同じアブラナ科でも
キャベツや芽キャベツの葉っぱでは同じような発酵促進効果は見られない

さて、他には何を入れようかな・・・
わたしが発酵肥料を作るときに基本としている姿勢は
できるだけ身の回りにある廃物を利用すること
そう考えると
今まで別に作ってきた生ゴミ堆肥と発酵肥料を
合体させた形にもっていくのもいいなあと思えてきた

毎日出る茶殻にはビタミンやミネラルが多く含まれ
卵の殻にはカルシウムがある
出汁をとった後の昆布は通常佃煮にするのだけど
今回は奮発してこれも入れてみよう

そして
今日はアジ(生魚)のアラと海老の殻が出たので
黒砂糖に漬けて「魚のアミノ酸」を作ることにした
3年前には実に色んな資材を作っていたものだが
これもその時作ったことがある

作り方はいたって簡単で
魚(アジやサバなどの青魚がよい)のアラと同量の黒砂糖を混ぜるだけ
1週間から10日くらいですっかりアラは解けて
どろどろの黒砂糖発酵液ができる

液だけをこして冷蔵庫に入れて保存(注:食べてはいけません^^;)
えー?!魚のアラが発酵したものなんてすごく臭そう!などと思うなかれ
これが甘辛いような香ばしいような香りで
冷蔵庫に入れるにも気が引けることはない(笑

それで、こしとった後のカスは
発酵肥料の方に入れることにしよう
糖分が多いから酵母菌が喜びそうだ


2月19日

中心部の温度がせめて50度になるのを待ってから
切り返しをしようと計画していたけれど
表面の温度がだんだん上昇し
昨日から表面が白い菌糸でおおわれてきて
材料の乾燥もかなり進んでいるようだ
sandankai219-3.jpg

今朝はもう表面はほとんど白い菌糸がはっていて
こういう光景は
わたしのような「発酵病」の人間にとっては実に喜ばしいものなのだが
世間の常識では気持ち悪い状況と思われる^^;

中心部の温度は46度で
どうもこのままではこれ以上上がりそうな気配がない
材料が乾燥と発酵促進により縮んで
ポリバケツとの間にすき間ができていた

50度には到達しないけど
ここでいったん切り返しをして
水分補給&発酵促進を図ることにする

別のポリ容器を用意して
まず、畑の土、もみがら、茶殻、卵の殻を入れる
hakkouhiryoumomigara.jpg hakkouhiryouchagara.jpg

その上に、発酵肥料Uの表面部分を削って入れ
(みかんの皮も一緒に入れる)
続いて側面部も削って入れる

材料を積み込む時点では
米ぬかを中心とした第1混合物を
第2混合物で包むような格好になっていたが↓
sandankaishikomi2.jpg

この第2混合物部分をまずは別容器へ移したというわけ

第1第2どちらの混合物も
”削る”という表現を使っているほど
しっかり菌糸が回ってかたまっていて
中から出てきた第1混合物は
かなり褐色化している
sandankai219-2.jpg

第2混合物をだいたい移したところで
真ん中あたりを中心に水分をしっかり補給する
これからは水分の好きな納豆菌に活躍してもらわなくてはならない
その上から、第1混合物を削りながら(割りながら)積み込む
sandankai219-1.jpg

ここでもさっと散水して水分補給
更にこの上へ
ポリバケツの底に残った第2混合物も水分を足して移した

こうして全部の中味が別のポリ容器に移され
あとは、もみがらとヨウリンを表面にまいて
古いバスタオルとビニールシートでおおう

さあ、これからは50度以上になってくれなくては、、
期待を込めて、温度計をさした


2月22日

sandankai222-1.jpg

「表面に綿毛状の菌糸体のかたまり(コロニー)ができたら第1段階終了」
本にはそう書いてあるが
19日のはじめての切り返しの時も
表面にはコロニーらしきものができていたし
昨日の朝もこうして表面に菌糸が出て白くなっていた
その後また切り返しをして
今朝見るとやはり同じ状態で表面は白い
一体いつが発酵第1段階(こうじ菌発酵)の終了なのか
よくわからないなあ・・・

今朝も切り返しをして
午後3時に中心部温度を見てみると55度
あたりにはアミノ酸臭らしきもの〜アンモニア臭が漂い
あの甘い香りがしていた時とはにおいの種類は全然違ってきている
ということは
すでに発酵第2段階(納豆菌発酵)に入っているということか?!

それでも
中心部の温度が50度を割るくらいになってからが第2段階とも記されてあって
まだ温度が高い状態の今は
でんぷんの糖化が同時進行しているのかもしれない
(糖化の最適温度は50〜65度)

内部の色は全体的に黒っぽくなってきた
とりあえず毎日切り返しをしながら様子を見ていこう


2月25日

毎日かき混ぜている発酵肥料Uは
今朝はもう表面に綿毛のようなこうじ菌のコロニーが見えなくなっていた
かわりに出てきたのが
白い粒状の納豆菌コロニー(画像左)
sandankai225-1.jpg koujikin217-1.jpg

(右画像は17日のこうじ菌の菌糸)

23日には腐敗を防ぐために酢を薄めて散布したが
その日の温度は40度までしか上がらなかったものの
翌日からはまた52度くらいまで発熱が続き
タンパク質分解が進んでいるのだろうと嬉しい反面
そのにおいから
すでにタンパク質→アミノ酸→アンモニアと
分解が進みすぎているのではないかとの不安もある
温度を上げすぎないために今日は2回切り返しをした

”暗褐色になり
サラサラとして湿気が感じられなくなる”
との、発酵第2段階終了のサインも見えてきた
そろそろ乳酸菌を投入したほうが良さそうだ


2月28日

50度以上の発熱が続き
切り返しのたびに鼻にツンとくるアンモニア臭がしていた発酵肥料Uは
だんだん温度も下がってきて
昨日は36度くらいまでしか上がらなかった

これなら自然の乳酸菌が繁殖してくれるものとして
わざわざこちらで乳酸菌を投与する必要もないかなあとも思ったが
それでもアンモニア臭はけっこうきついし
念のためにヨーグルトを混ぜておいた

今朝の温度は17度
どうやら第2段階は終了した模様だ
いよいよ最終段階にはいるために
まずはドライイーストに砂糖とぬるま湯を入れて予備発酵させる
この液が見る見るうちに脹らむ様子は実に面白〜い
dryyearst1.jpg dryyearst2.jpg dryyearst3.jpg

ひゃあ〜、あふれるあふれる〜〜〜と、あわてて外のバケツへ移した後
そこに酸性化成肥料の硫安、過リン酸石灰、塩化カリを
それぞれ300グラムずつ入れて混ぜた
更に
16日に仕込んでおいた魚のアラを黒砂糖で発酵させた「魚のアミノ酸」も少々投入
以上を発酵肥料Uに混ぜてよく撹拌しておいた

仕込んで12日目の魚のアミノ酸はこんな状態で
まだアラがちゃんと分解されていない
sakananoaminosan.jpg

以前作ったときは温かい時期だったので
今ごろはもう形がわからないくらいになっていたと思うが
まあ気長に分解を待つとしよう

問題は、今後発酵肥料の温度を
絶対に27度以上に上げないように管理することだ
ここで失敗したら今までの苦労も水の泡、、、
そのために、肥料の入れ物は2つ用意し
それぞれに薄く広げておいた


3月6日

ドライイースト投入直後から
それまでのアンモニア臭はおさまって
酵母菌発酵の香りがし始めた

あれから6日
毎日かき混ぜて酸素を供給しているうちに
表面は白いコロニーでおおわれるようになってきた
これが酵母菌コロニーなのだろう
白い粒々は納豆菌の粒々よりも小さくて
肥料自体はかなりサラサラしている
sandankai306-1.jpg sandankai306-2.jpg

この後、さらにかき混ぜながら乾燥させていくが
最終的に全体が白黒のごま塩状態になれば完成

心配していた化成肥料投入後の温度上昇もなく
三段階発酵肥料作りも山場を越えて
これからじっくりと熟成する期間に入る


3月20日

酵母菌投入から3週間が経過した
毎日かき混ぜて
少しでも空気に触れる面積が広くなるよう表面は波型にしているが
sandankaizenkei1.jpg

1〜2センチ程度の塊がたくさんできていて
表面がだいぶ白くなってきた
sandankaizenkei2.jpg

それらの塊を割ってみると・・・
sandankaizenkei3.jpg

すでに外側も内側も酵母菌が繁殖して白くなったものもあれば
sandankaikanzen2.jpg sandankaikanzen3.jpg

表面だけ白くなっているものや
中が半分だけ白くなっているもの
sandankaimikan7.jpg sandankaimikan2.jpg

まだまだ黒くて未熟なものもあり
sandankaimikan3.jpg

一方で
発酵肥料のパン状・スポンジ状化が進んでいる
sandankaimikan8.jpg sandankaipanjou1.jpg

こうしてアップにしてみるとライ麦パンみたい?!

何とかここまで進んできた三段階発酵肥料つくりだが
今一番気になっているのは
まだ少しアンモニア臭が残っていることだ
あと
全体にもっと酵母菌が繁殖して白っぽくならなくてはいけないし・・
もちろん、酵母菌の繁殖最適温度より今は寒いのだから
この辺はじっくりと構えておかないと
と、自分に言い聞かせている今日この頃。。




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