花ごころ

つつきまわさないバラつくり
 


”楽で安価に健康なバラつくり”を目標に
この3年間というものは
自家製肥料、堆肥、その他諸々の資材作りに取り組んで
毎年「今年こそ!」と意気込んできた

しかし
現実には期待と違う結果に考え込むことが多く
特に昨年秋以降は
土壌腐敗菌の繁殖によって
秋バラがほとんど見れない状態だった

これまで『花ごころ』に記されてきた記録を読むと
自分でもずい分熱心に
土つくりなどに取り組んできたものだと感心するが
(呆れるとも言う、、)
熱心になればなるほど
わたしのバラつくりは楽になるどころか
労多くして収穫は少ない・・・
というのが現状だ

このままではいつまで経っても
楽なバラつくりなんて実現しそうもない・・・
そう思うと
昨年10月〜11月にかけて
腐敗しているであろう土を新しくするための植え替えを実施して以来
最低限の水やり以外
何もする気が起きなくなってしまった
おぉ、ついにやる気を失ってしまったのか?!
というとそうではなくて
方向転換の必要性を感じているのだ

肥料のページにも記録を残しているように
2003年は実に色々な資材をつくってはバラに散布していたものだ
市販の保護液と呼ばれるものから
自家製の病虫害防除剤もあわせて
3日に1回は何かを葉面散布して
バラに悪い虫がつかないように、病気にならないようにと
防除作業に躍起になる日々、、、
確かにその効果はある程度あったのかもしれないが
目立っていたのは肝心なバラの方の受けるダメージだった

翌年2004年からは
葉面散布を一切止めて
土壌微生物を養うことで
病原菌に対抗する作戦を強化することにした
そのために
米のとぎ汁に砂糖、酢、酒、塩を入れて発酵させたものを
薄めて週に一度は土壌潅水
自家製発酵肥料を次々投入し
生ゴミ堆肥を置き
剪定枝を刻んでは敷き
米ぬかや木酢液をかけては微生物繁殖に励んだ

わたしが最初から目標にしているのは
土壌微生物が都合よく働いてくれて
土を団粒化し
酸素を供給し
アミノ酸やホルモン、ミネラルなどを生み出し
更に微生物自身が死んで肥料になるという
”微生物頼み栽培”なのだ

その実現のためには労を惜しまないつもりだったし
同時に肥料バランスについてもかなり勉強して作戦を練ったつもりだが
2004年のバラは良い出来ではなかった
その敗因を
わたしは今度は鉢の大きさによるものと考えた
それまでの10号以上の鉢をすべて6〜8号に替え
鉢の素材も通気性を重視して素焼鉢を使ってみた
それから
新しい資材として炭をすべてのバラ土に投入
それまで「植え替えしない鉢バラ」を目指してきたが
今回は出直しのつもりで鉢土も新しくした

今度こそ万全!
そう自負してはじまった2005年
確かに春バラの復活は目を見張るものがあり
ついにある程度の目標に達したかのような気分に浸っていたものの
夏以降のバラは目に見えて調子が悪くなっていき
秋にはとうとうここに記録を書く気もおきないほど
散々な状態に陥ったのだ

9月の夏剪定以降
新しい枝がいっこうに伸びてこない
それどころか葉っぱをどんどん落とすものも出てきた
それはどうやら土中の有機物の腐敗による腐敗病のせいだと知り
それまでずっと使わなかった化学農薬の殺菌剤を潅水
正直なもので
その後生長の止まっていたバラが動き出し
いくつかの品種が花を咲かせた

10月末
殺菌剤をまいたあともなお調子の悪い株の根を見てみようと
鉢をひっくり返す
すると
案の定、根は全然張っていなかった

  

このべとべとした土の状態は
ちょうど一年前に植え替えた時と同じで
肥えた畑土のような感じで
ミミズがいっぱいいた

決して大きくはない6号の素焼鉢の中で
土が腐敗している
なぜ?!
答えはひとつ
有機物の過信による過剰投与だ

良い菌を増やそうとして入れ込んできた有機物に
かえって腐敗菌が繁殖
一生懸命作っては施している発酵肥料も
水分が過剰になって腐敗しているのだろう
そして
そこに増えるのは土を発酵させる微生物ではなく
腐ったものが好きなシマミミズと腐敗菌・・・
シマミミズの出す糞はサラサラで
それが水分を吸うとべとべとになり
フトミミズの出す団粒化した土とは違うのだと知ったのもこの頃だ
よく見てみれば
うちの鉢土に群がっているのは縞模様があるミミズばかり
ミミズがいっぱいいる土は良い土だと信じてきたのに
あるサイトを見ていると
”ミミズがたくさんいると自慢するのは
自分の畑は腐りかけていると自慢しているようなものだ”
と書いてあるのを読んで
思わず頭の奥でガーンという音がなった気がした

11月半ば
10月上旬に掘り出して根洗いした苗を
赤玉土だけに植えつけたものが新葉を展開させはじめた
弱った苗はまず有機物の入らない赤玉土単体で養生させるといいと聞き
その通りに行ってみたものだ

 

11月の終りには
いくつかのツルバラを植え替えた
一季咲きのツルバラは元々生育も旺盛なので
発酵肥料や液肥も春先しか与えていない
それでもシュートは何メートルも伸び
鉢をひっくり返してみると
白い細根がしっかりと張って
土はぽろぽろと簡単に崩れた
これが元は上のべとべと鉢土と同じ土だったとは信じがたいほどに、、

 

同じ土を使っても
一生懸命つつきまわしたものとそうでないものとでは
一年経った時の状態はここまで違うのか?!

年が明けて
最後に残っていた原種バラの植え替えも行ったが
これこそまったくの無肥料で育てているけれど
根張りは十分すぎるほどだった
しかもこの土は古土を適当に混ぜたもので
堆肥もわずかしか入っていない

さて
10月の終りから
根が窒息しそうなバラの植え替え作業を始めるに当たって
まず一番急がれるのは配合土について決めることだった
バラの土には「排水性」「保水性」「保肥性」と
まるで相反するような要素が求められる
特に鉢という限られた空間では
鉢土の物理性の問題は重要だ

用土の種類 排水性 保水性 保肥力
基本用土 田土
黒土
赤土
畑土
赤玉土
鹿沼土
日向土(ぼら土)
山砂
川砂
桐生砂
改良用土 腐葉土
堆肥
ピートモス
バーミキュライト
パーライト
ゼオライト
もみがらくん炭


2003年の終りにも
上記の表を眺めながら配合土についてあれこれ考えた
今回も同じ表を見ながらも
決定的に違うのは土と有機物の割合

2005年までは
わたしはずっと土よりも有機物の多い配合土(土4:有機物6)を作っており
そうすることが土壌微生物を養うに必要不可欠と信じていたのだが
その”有機物信仰”も腐敗菌の蔓延でもろくも崩れ
今回は基本を土7〜8:有機物2〜3としている

下が使用する土と資材一式で
苗の状況によっては
赤玉土単体で植え付けたり
赤玉土にベラボン(ヤシの実チップ)を加えただけの配合土も用いた



まず基本は通気性のいいきれいな土
とりあえず株が元気に根を張らなければ
ちょうど
食欲のない子の前にご馳走を並べても食べられもしないし
やっと食べても消化吸収が悪いのと同じ状態だろう

通気性の良い土の中で十分酸素を吸いながら
自分で水を求め
お腹がすいたと養分を探して根を伸ばす
そんな生きる力を育てたい
うちのバラたちには
いつの間にかそういう力が弱くなっているような気がするのだ
そのためには今までの至れり尽せりの栽培方法ではなく
水も肥料も決して過剰にならない
ある種スパルタ的なやり方も必要になるだろう

水やりについては
わたしはだいたい過剰派で
足りていてもまだバサバサとやってしまう方だ
そんなわたしの代わりに土壌水分調整をおまかせするため
今回はベラボン(ヤシの実チップ)を使っている
これはバラのプロの方達が使っている資材で
普通の有機物のように腐食が進まない分腐敗の心配が少ない
チップの中にたくさんの水を保ち
必要に応じて放出してくれるとの作用は
夏場にもかなり心強いのではないかと期待している
そして
保肥力に優れるゼオライトがどう働くのかも今年の注目のしどころ
完熟堆肥はいつもの農協のものだが
これは夏以降の腐敗のことを心配して
混ぜる量は少なめにしておいた
(土全量の一割程度)

とにかく
今回どうしても押さえたいポイントは
土が腐らないために
土の中に腐る原因になるものを極力入れないことだ
そういう意味では完熟堆肥も入れたくない
いや、もし今年
完熟堆肥を入れない赤玉土単体や
赤玉土+ベラボン土に植えたものが生育がよければ
次年度はそちらへ移行することも考えている

肥料については
これまではかなり綿密な計画のもとで施肥を行ってきたが
今年は今までとは全く違う方法をとることになるだろう
これはまだ実際にバラのシーズンが始まらなければ
自分でもどうするのかははっきり決められない
よく言われるように
”バラに聞きながら”
施肥していこうと思うのだ
つまり
生育状況をみながらというわけ

今の段階では
原種バラは今までどおり無肥料
そして
ツルバラとオールドローズは
春先に自家製発酵肥料を
微生物資材としてわずかに投入するのみにとどめ
あとはコンパニオンプランツや緑肥作物の混植を検討

今までずっと過保護になっている
イングリッシュローズやハイブリッドティなどは
3月、6月、9月の要所の施肥にとどめる方針で考えている
これで本当にちゃんと花が咲けば
なんて楽なバラ栽培!

まあこの施肥の問題はまだあいまいなものだが
今ひとつ確実に決めているのは
やはり化学農薬はまったく使わずにやっていこうということ
昨年秋には腐敗病のために殺菌剤を使用したが
その時の道具を洗う際にはとても神経を使った
わたしの使う道具は
母が野菜つくりにも使う
無農薬で安全だからこそ意味のある家庭菜園
安いだけならスーパーで
いくらでも安価な野菜を売っている
やっぱり使いたくないよね、化学農薬は・・・

今までにも何度も書いてきたけれど
わたしは別に崇高な理念でもなんでもなく
ただ自分が化学農薬に弱い体質だから
それを使わない庭つくりを目指している
バラはとても大切だけど
薬を使わないために枯れてしまうなら
それも仕方がないこととあきらめることにしようと思う

わたしはここ3年新しいバラを購入していない
それは、その後貴重な品種を次々枯らしてしまい
次に購入するのは
いつか自分が自信を持ってバラを育てることが出来るようになってから
と心に決めているからだ
でも
今なおわたしにはバラを育てる自信が全然ない
それどころか
張り切ってつつきまわせばつつきまわすほど
デリケートな品種は次々といなくなってしまった

今はとにかく
わたしが手をかけなくても
自分で生きていけるバラを育てたい
もしかすると今年は
そのための選抜の年になるのかなぁ・・(汗

うちの周りには
バラを熱心に育てているお庭は見かけないが
花がら摘みも剪定もされず
多分肥料ももらえていないであろう古いバラが
それでも年に何度も立派な花を咲かせている様子を
不思議だなあと思いながら眺めることがある

そのほとんど野生化したバラは
シュートだって太くて立派だ
原種でもオールドローズでもないハイブリッドティで
きっと強健種なのだろうが
これに比べて
うちの強健種なはずのHTはずっとひ弱な感じに見える

一見、見捨てられたようなあのバラこそ
わたしが求めている自立したバラの姿
消毒もされていないから
土の中には微生物もいっぱいいて
落ち葉が落ちればそのままで
水もあまりもらえないような環境が
微生物の繁殖にもちょうどいいのかもしれない

バラつくりを始めて5年
こんなに気負いがない年は初めてだ
いつも「今年こそ!」と張り切っていたのに
今年は”子離れ”ならぬ”バラ離れ”をするつもりでいる
バラが
「もうちょっと放っておいて」
といっているような気がするのだ

そんなわけで
ちっとも期待が出来ない今年の春だが
植え替えしたあと全く放っているバラたちの勢いの良い芽に
何となく自然の力を感じながら
そろそろ本剪定にとりかかろうかなという気持ちになっている




(2005年1月17日記)


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