花ごころ

土つくりのこと(5)
                                                  



9月半ばに
害虫防除目的でアグリクールと牛乳を葉面散布したら
夏剪定後に順調に伸びていた葉が
次々と枯れて落ちてしまった
7月ごろから
保護液散布をするたびに葉の異常を感じていたので
どうもこれが原因ではないかと思っていたが
何しろ他にも色々まいていたので
自分でも何がどうなっているのかよくわからない状態
でも牛乳で葉は落ちないでしょう・・・

完全無農薬栽培に切り替えようと決心して
わたしが一番に探したのは
農薬に代わる害虫防除剤だった
無防備なバラに次々やってくる虫たちは
とてもテデトールだけで対応できるものではない
特につるバラは薬剤散布が必須となる

そうして出会ったのが
ニームオイルとアグリクール
ふたつとも植物の出す殺虫成分を利用した
”天然の”薬剤だ

”天然”とか”自然”とかいう言葉に人は弱い
わたしももちろん弱い
これは安全で便利だとすぐに飛びついて使うようになった
バラを栽培する人たちもたくさん使っているようだし
そこに何の疑問も持たなかった

しかし
実はこういう天然の害虫防除剤による薬害らしきものは
けっこうどこにでもあるらしいことが最近になって判明
あ、わたしだけじゃなかったんだなと安心する反面
害虫に対する効果はあると感じていただけに
じゃあこれからどうするのかと考え込んでしまう

ニームオイルにしてもアグリクールにしても
「とりあえずコニファー」で述べているフィトンチッドだ

フィトンチッドとは
”植物が毒物質を分泌して他の植物に害を与える作用”だという
その毒物質を害虫駆除に使うわけだが
そこには同時に
”それをかけられる植物への害もついてくる”
というリスクが伴うところには
なかなか目が向かない
わたしももちろんまったく考えなかった
とにかく無農薬にこだわって
とりあえず便利なものに頼って目的を早く達成しようと焦っていたから

わたしは7月ごろから
葉面散布をやめようかと考えるようになった
雨でさえも葉面のワックス層に影響があるというのに
わざわざ色々なものをジャージャーかけていてどうなのだろうかと

それでも害虫の姿を見れば
やはり誘惑に負けて何かまきたくなる
そして決断できないままだらだらと時は過ぎ
そして9月になって決定的なダメージが、、、



これは9月15日の散布で葉っぱを落としたスパイス・ド・カフェ
改良種の中でもまだ新しい茶系のバラだ
丸坊主になってからもう一ヶ月以上になるというのに
いまだに新しい葉がほとんど出てこない

同じ時期に同様の姿になった他のバラたちは
葉面散布をやめてから順調に新しい葉が伸びて
何とか花も咲かせているが
夏の長雨と低温のため
それでなくてもダメージをおっている上に
大事な葉っぱを落としては
かなり弱ってしまったことだろう

わたしはもう葉面散布をやめようと思う
もちろん必要に応じて
個別に散布することはあるだろうが
今までのように
”予防”目的で全部に定期的に散布するのはやめておく
どんなに”良い”と言われるものであっても
高価なものであっても
それが葉っぱにダメージを与えないという保障はどこにもない

この一ヶ月で広がった葉っぱは
ところどころ虫食いあともあるけれど
一枚一枚がどれも健康的だ
これから休眠期に入るその時まで
この葉っぱをそっとしておきたい

さて
”上からの防除”が不可能となった今
もはや”下”に頼るしかない
下とは土のこと
やはりすべては土へと帰ってくる

微生物の働く良い土には
病害虫に強い植物が育つ
これを信じて昨日は
土着菌で発酵させた米ぬかをまいた
こうして定期的に米ぬかをまき
米のとぎ汁で作った発酵液肥をまき
生ゴミ堆肥を施し
常に微生物を繁殖させるための努力を重ねてきて8ヶ月
土は見違えるようになった

先日
地中30センチのところの土が団粒化していたら
微生物が良く働いている証拠だといわれたので
早速掘ってみることにした

掘ったのは
バラのボーダーガーデンの
これまで生ゴミ堆肥や
生ゴミそのものも埋めてきた場所のすぐ側



これがなんとも驚くほどやわらかくて
あっという間に50センチまで掘り下げてしまった

そしてこれが30センチのところの土↓



この花壇はマサ土で作られていて
はじめはもっと細かい土だった
そこへ特に定期的に腐葉土などをすき込んだわけではないが
土はところどころかたまりになっていて
おにぎりのように握ると形にはなるが
指先で押すと簡単に崩れる
これは本によると
”有機物を含んだ団粒化した良い土”とされる

このとなりには一ヶ月くらい前に生ゴミを埋めた
そこを掘り返すと・・・



すっかり黒い土になっていて
このように大きなミミズがうようよいる
このたくさんのミミズたちが
まわりの土も耕してくれているのだろう
そしてミミズのふんでますます土は肥えてくる

生ゴミを埋めた場所のすぐ側にあるバラも
今大きな花を咲かせている
未熟な堆肥を施すと
それが土中で発酵する時に発散されるガスで
根が傷んで成長不良を起こすといわれている
それでも
40年前に母がこうして生ゴミを埋めながら
バラを育てていたのだからと
7月から同じ事を試みてきたが
今のところ特に不都合はないように思われる

科学的に考えればタブーとされることが
自然の世界ではOKの場合がある
土の中で一体微生物がどのように働いているのか
その神秘はまだほとんど解明されていないらしい

綱渡りのような実験を繰り返しながら
いつかこの試みが何倍にも化けることを夢見て
次なる新しい作戦を練っている





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